照明探偵団のサロン「Enjoy Green Lighting エコ・アイデアに満ちた楽しい住宅照明」に参加してきました。私の師匠である、難波和彦さんのレクチャーもあるとのことで、楽しみに駆けつけました。
いま照明は、白熱電球から蛍光灯そしてLEDに変わりつつあります。しかし、光源を変えればそれでエコなのでしょうか?エコでありながら心地よく楽しい灯りとは何か?過渡期にあるこれからの照明を考えるよい機会となりました。
まずは、照明探偵団のメンバーによるGreen(=エコ)とEnjoy の両方を適えるライティングの提案。一つのフロアスタンドの光を同時に二種類の灯りにする提案がとても面白かったです。ひとつの照明からの光を、アッパーで天井を広く照らすアンビエントライト(環境照明)と、天井に張ったミラーに反射させてテーブル面を照らすタスクライト(作業照明)に振り分けるのです。ちょっと応用して、レイアウトを変更すると光環境もそれに伴い変化するような家具をつくると面白そうだなと思いました。そのほかには、行動する場所に灯りを連れて行くポータブルライトの提案も新鮮に感じました。一灯を使いまわして照明を減らすというだけでなく、提灯や行燈のようにハレ感があって使うのが楽しくなりそうです。
そして、楽しみにしていた難波さんのレクチャー。「箱の家シリーズ」の照明についてのポイントを「建築の4層構造」に落とし込んだ明快な説明でした。箱の家の照明は、灯数と種類を最小限に絞り、目立たないシンプルな照明器具でアンビエントを確保、タスクライトはダイニングテーブル上のスポットライトのみ、というストイックな照明計画です。事務所に所属していた当時、担当していたプロジェクトはローコストで小さな住宅が多く、60Wの白熱電球一灯で一室空間を照らすというような本当にミニマムな照明計画でした。削ぎ落とすことで、かえって豊かさや自由さが感じられるような空間。それは照明だけではなく、全てにおいてです。これ以上プラスもマイナスもしなくていいと思える住宅デザインを心がけたいと思いました。それがエコにもつながるのではないかと思います。
もうひとつ、このサロンで気になったことがありました。面出薫さんとの対談の中で出てきた「プラクティス」という言葉です。仮説をいくつも積み重ねていくことはある時点を超えたときにブレのない全体を生む、というようなことだったと思います。ひとつひとつ忍耐強く取り組んで、迷って、考えて、決定して、を繰り返していくことしかブレイクスルーにつながる道はないのかもしれません。