久しぶりに公開を待っていた映画「未来の食卓」。
学校給食を全てオーガニックにするという試みに挑戦したフランスの小さな村の1年を追ったドキュメンタリー映画です。押し売りのない自然な見せ方に共感。
舞台は、農村の風景がとても美しいフランス南部のバルジャック村。映画は、そんな風景に似合わない、農薬の危険にさらされる農家の人々や、がんで子供を失った人々のインタビューが続きます。時折、専門家のシンポジウムの様子が挿入され、“環境の化学汚染が人体に影響を及ぼす”具体的なデータが映し出されます。こうしたマイナスの情報が淡々と深刻さを伝えてくるなかで、単純にオーガニックへの気持ちを駆り立てるのは、子供たちののどかな給食の風景とそのシンプルな食事でした。フランスでは、ランチタイムは家に帰ってランチを取るか、給食をオーダーするかが選択できます。食べさせられる給食ではなく、みんなで食べる食事。大きなテーブルを囲んで銘々が大皿から料理を取り分けたり、食べたがる子の傍らで果物を剥いて手渡ししてくれるスタイル。その食事の様子が、なんだかとてもよかったのです。それはオーガニックならではの光景ではないのですが、食材に気を使うことは、スタイルを含めて食事がシンプルになっていくこととシンクロしているように思えます。そしてなんといっても、採れたてのレタスだけの素朴なサラダが、本当においしそうでした。
子供たちは学校の菜園で野菜を育て、自然のままの野菜のおいしさや安全性を知っていきます。それが親たちや地域の人々の意識も変化させます。映画を見ていくにつれ“自然のまま”の食事があたりまえに思えてきました。
1年ほど前から、宅配で届く有機野菜をほぼ毎日食べるようになって「食べたものが体をつくる」ということを意識するようになってきたところです。ちょっと虫食いがあったり、小さめだったりするのですが、おいしく気持ちよく食べられることが気に入っています。安全でおいしいものを無駄なく食べる。全ては無理でも、できるだけそうしたいと思いますね。バルジャック村の給食の料理長が言った「後戻りしたくない」という言葉が印象に残る映画でした。