毎日毎日ほんっとに暑い日が続きますね。処暑はもう過ぎたというのに…。
冷房が欠かせない毎日ですが、建築の工夫でなんとか最小限にしたいものです。みんなでエアコンストップすれば、2,3度下がったりしないんだろうか…。
エアコンがない時代には、涼しく過ごすための知恵を総動員して、心地よく過ごす工夫をしてきたんですよね。その知恵を体験しようというワークショップ、世田谷区主催の「こども住まいの探検隊」に参加してきました。オトナ3人で(笑)。
会場は、成城の猪俣庭園(旧猪俣邸)です。
猪俣庭園は杉苔の美しい庭園として有名です。そして、猪俣邸は吉田五十八(いそや)設計の名建築でもあります。
昔ながらの日本建築は、直射日光をいれないための庇や、通風や光をコントロールできる建具、涼しい庭からの空気を呼び込む窓の配置など、環境との折り合いをよく考えたつくりになっていたんですよね。
猪俣邸には、住宅の中心に小さめの中庭が二つあるのですが、どの部屋の一端もこの中庭にどこかでつながっていて、風の入口と出口がちゃんとあるんです。すーっと風が吹き抜けるのを体感しました。おぉー。頭ではわかっていても実験的に体験すると改めて感動です。
そして、さすが数奇屋造りの名建築。とても洗練された工夫が随所に見られます。ひとつの例をご紹介しましょう。
これは寝室の地窓。ふとんで寝ているときに心地よい風を取り入れるための工夫がされています。
写真左:建具を全開。面格子がついています。昼間はこれに網戸を足せばOK。
写真中:雨戸。まったく採光も通風もナシ。外出時は一番安心。
写真右:「無双窓」付きの雨戸。無双窓とは、ストライプになっている部分で、同じ幅の板と開口が交互に組まれた2枚の戸をスライドさせることで開閉します。開く部分は網もついているので虫も気にしないで通風を確保。これなら寝ていても安心ですね。
外側から順に、雨戸、無双窓付雨戸、網戸、ガラス戸、障子…なんと5種類の建具が用意されているのです。この小さな窓だけでなく庭側の大きな窓にもすべて。どこを開けるか閉めるか、どの建具にするかで空気の流れをいかようにも。すばらしいですね。
夏だけではありません。ガラス戸や雪見障子を閉める冬は、暖かい日差しを取り込み、縁側を暖かい空気が溜まる断熱層に。ダブルスキンですよ。えらい。
こども向けのワークショップでしたけど、本気で楽しむオトナ達でした。
とても丁寧に準備くださり、楽しませていただいた世田谷トラストまちづくりのスタッフの方々ありがとうございました。
そして帰りには「夏椿」によって夕涼み。
庭にオオヤコーヒさんの屋台が来ていました。
こういう風情も、夏を涼しく楽しむためには大切ですね。
気持ちのいい夏の1日でした。