仕事場と住まいを一つに 工房の上階に住む
陶芸家とその家族のための住宅です。生まれ育った家、両親の工房、そして薪窯。それらがゆったりと建ち並ぶ敷地内に建主の工房も建っていました。職住をまとめるため、工房の上階を家族4人の住まいに改修することになりました。
改修前の様子です。小屋裏が見える2階は、天井が高く居心地が良いので気に入っているとのこと。小屋組みをそのまま活かせる空間づくりを考えました。
台所を家の中心に
もともとの間取りは、西側に板の間、東側に畳敷の続き間があり、背骨となる部分に押入れと階段が並んでいました。東西の繋がりはあまりありません。
下階の工房との関係で家の中央にある階段を動かしたいという要望があり、階段を移設。その部分に台所を置くのはどうかと考えました。
台所の壁には小さな穴を開け、東側の広間にいる子どもたちの様子が見られる窓を付けました。台所の通路が家を南北に貫く廊下となり、子どもたちがすり抜けていきます。皆が立ち寄る台所になりました。
台所北側の板の間は食堂。天井が高く開放的です。
キッチンカウンターはDIYで
ステンレスカウンターの脚は建主自ら製作。以前からDIYで製作し使い続けてきたワゴンを入れ込みました。鍋がぴたりと収まります。壁と天井の仕上げと設備の設置は工事を依頼しました。
シンク前の窓からは、居間や子供たちの勉強机が見えます。
台所南側にはトイレを新たにつくり、それによって仕切られたスペースを洗面と洗濯のスペースにしました。
もともとあった洗面器を窓の前に移設し、眺めのよい洗面所に。
広めの洗濯スペースは、裁縫や冬の物干し場にもなります。
移設した階段。踊り場を設けて上り下りしやすくしました。壁は漆喰。建主によるDIYです。
下りた先は内玄関、一方は工房へ、もう一方は庭と薪窯へつながります。
制作の場に囲まれた中庭に静かな時間が流れています。
越前の工房住居
改修 | 2019年
用途 | 住宅
構造 | 在来木造
施工 | 株式会社ワンフォレスト
写真 | OV